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◆◆ 先人の言葉に学ぶ ◆◆――――――――――――◆
今月は、宮本武蔵が自身の生き方を21か条に記した「自誓書」といわれている『独行道』の言葉を紹介します。宮本武蔵は、晩年に肥後熊本藩の客分となり、熊本千葉城の自邸で死去の7日前、正保2年(1645年)5月12日に弟子の寺尾孫之丞に、兵法書『五輪書』とこの『独行道』を与えたと言われています。剣客としての厳しい生き方を貫いた武蔵らしい精神が、一つ一つの言葉に込められています。
一、世々の道をそむく事なし。(古今の道に外れない)
一、身にたのしみをたくまず。(おのれ一身の楽しみに趣向を凝らさない)
一、よろづに依枯(えこ)の心なし。(なにごとであれ他人に依り頼む心を持たない)
一、身を浅く思ひ、世を深く思ふ。(己の身を軽く思い、世の中を重く深く思う)
一、一生の間欲心思はず。(一生の間、欲心を抱かない)
一、我、事において後悔をせず。(わたしは全てのことに後悔しない)
一、善悪に他をねたむ心なし。(善きにつけ悪しきにつけ、他人を羨んだり憎んだりしない)
一、いづれの道にも別れを悲しまず。(どんな事態に遭遇しても、別れを悲しみ嘆かない)
一、自他ともに恨み、かこつ心なし。(己についてであれ、他人についてであれ、恨んだり、愚痴や不平をいったりしない)
一、恋慕の道思ひよる心なし。(女人を恋い慕う気持ちは持たない)
一、もの毎にすき好むことなし。(なにごとであれ好みに溺れない)
一、私宅において望む心なし。(居宅に望むところはない)
一、身一つに美食を好まず。(一身に美食はいらない)
一、末々代物なる古き道具所持せず。(のちのち売り物になるような古道具は持たない)
一、我が身にいたりもの忌みすることなし。(己に関わる凶事を忌まない)
一、兵具は格別、余の道具嗜まず。(武具は別であるが、他の道具に心を費やすことはない)
一、道においては死を厭はず思ふ。(兵法の道を極めるのに死を厭わない)
一、老身に財宝所持用ゆる心なし。(老残の身に財宝を所持し、用いる心はない)
一、仏神は貴し、仏神を頼まず。(仏神は尊い、しかし仏神を依り頼む心は持たない)
一、身を捨てても名利は捨てず。(命を捨てても武士であることの名と名誉は捨てない)
一、つねに兵法の道を離れず。(どのようなときにも兵法の道を離れない)
※『五輪書』ちくま学芸文庫より
この言葉の迫力には圧倒されるばかりで、自分には到底できそうもないことばかりです。しかし、何とか迫ってみたいと思うところが多いのも確かです。宮本武蔵は、霊巌洞という洞に60歳の秋から籠もり、『五輪書』を書き上げます。凜とした空気が漲る、寒さ厳しい山中の霊巌洞に立てば、その精神の厳しさが胸に迫ってきます。やはり、その地を訪れ、先人の生き様と言葉に学ぶことが、深い実感を伴った学びとなり、自分自身を高めてくれることになると改めて感じました。(志)
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