アメリカに行った卒塾生の文集を読み返していて、挨拶について書いてあるところに目がとまりました。きちんと挨拶をしていた日本が良いと感じたというものです。

そこで少し挨拶について考えてみたいと思いました。

挨拶の「挨」は「押す」、「拶」は「押し返す」という意味で、本来は、禅僧の「知識考案」における「受け答え」をさす言葉であったそうです。つまり、禅宗で、門下の僧と問答をして、互いの悟りの程度(深さと浅さ)を知るということです。

ということは、挨拶において、相手の状況や、人間としての深さ、心の持ち方を察し合うという、精神的な深さが、日本の挨拶にはあるということでもあります。

人は日々新たに成長する存在です。しかし、一方で易きに流れ堕落する可能性もあります。

そこで、相手との挨拶によって、相撲の仕切りのように、自他の心技体の状態や力量を、日々新たに推し量るということにもなるのだと思います。

それは相手を敬うことであり、自分を磨き続けるということでもあります。

挨拶をしっかりすることの大切さを教える日本の教育は、やはり大切なのだと改めて感じます。