一人の教師として、世の中に何を遺せるのか。それをずっと考えてきました。

県立高校の教師を辞めてから、教師としての本当の人生が始まったのだと思います。

20年近くの時が流れ、自分の選んできた道はこれで良かったのだと思います。正しかったかどうかはわかりませんが、少なくともこれで良かったとは思います。

退職して、全ての世間的肩書きは一旦白紙に戻り、0から歩み始めるということは、肩書きというものに対する考え方が変わるということでもあったのだと思います。

今までは、組織に属し、組織に貢献し、組織に与えられるものが肩書きでした。組織の評価が自分の肩書きの評価に繋がっていくものでした。

しかし、独立してからは、自分の肩書きへの評価は、自分で歩んできた道程で決まっていくものに変わりました。私の学びと、努力で、一歩一歩、信頼を勝ち取っていくしかないのです。

つまり、肩書きの価値を決めるのは自分でしかないのです。

勿論、多くの方に支えられての教育活動ではありますが、私を支えてくださる経営者の皆様の社会的評価と、一教師である私の評価とは全くの別物です。

走り続けている最中には、そんなことを考える余裕もありませんでした。人生の創立60周年を迎え、ふと振り返って見た時に、そんなことをちらっと思いました。

まだ、振り返るには早いと思っています。これから更にパワフルに走り続けます。少しでも、世の中に、良き教育的価値を遺すことができるように全力を尽くします。

ただ、これからは、ひとりでも多くの方と共に歩んでいけるように考えていきたいと思います。なぜなら、教育的価値というものは、直接、人に手渡す以外にないものだからです。